■1950年代終戦直後、山奥の隠れ里に迷い込んだ楽士親子の悲劇を描いた2015年製作の韓国のホラー・ファンタジー。
根っからの善人でとぼけた父親と賢い息子のバディ感で和む前半からの落し込みがハンパない。「ハーメルンの笛吹き男」をモチーフにしたネズミの大群のスペクタクル、凄惨なラストシーンが胸をえぐる。何度でも言う。私はこれほど凄惨で憐れで絶望的な道化は見た事が無い。
■原題は「손님(客)」。■監督/脚本は本作が長編デビューのキム・グァンテ。
■出演/キム・ウリョン(リュ・スンリョン)、その息子ヨンナム(ク・スンヒョン)、村長(イ・ソンミン)、その息子ナムス(イ・ジュン)、ミスク(チョン・ウヒ)、チョルスの父(チョン・ギョンホ)、巫女(キム・ヨンソン)など。
根っからの善人でとぼけた父親と賢い息子のバディ感で和む前半からの落し込みがハンパない。「ハーメルンの笛吹き男」をモチーフにしたネズミの大群のスペクタクル、凄惨なラストシーンが胸をえぐる。何度でも言う。私はこれほど凄惨で憐れで絶望的な道化は見た事が無い。
■原題は「손님(客)」。■監督/脚本は本作が長編デビューのキム・グァンテ。
■出演/キム・ウリョン(リュ・スンリョン)、その息子ヨンナム(ク・スンヒョン)、村長(イ・ソンミン)、その息子ナムス(イ・ジュン)、ミスク(チョン・ウヒ)、チョルスの父(チョン・ギョンホ)、巫女(キム・ヨンソン)など。
■ あらすじ
1950年代終戦直後の混乱期。ソウルを目指す貧乏楽士親子が山奥の隠れ里に迷い込む。
父親のキム・ウリョンは笛の楽士で、のんきで学は無いが記憶力は良く、片足が不自由なため戦火で妻を亡くしている。10歳の息子ヨンナムは父思いの賢い子だが肺病病みで、ソウルの在留米軍の医者に診せに行く途中だった。
その村は高い山々に囲まれた地図にも無い隠れ里で、別世界のように良い風が吹き、豊かな実りに恵まれ、人望厚い村長の元のどかに暮らしているようだった。
父親のキム・ウリョンは笛の楽士で、のんきで学は無いが記憶力は良く、片足が不自由なため戦火で妻を亡くしている。10歳の息子ヨンナムは父思いの賢い子だが肺病病みで、ソウルの在留米軍の医者に診せに行く途中だった。
その村は高い山々に囲まれた地図にも無い隠れ里で、別世界のように良い風が吹き、豊かな実りに恵まれ、人望厚い村長の元のどかに暮らしているようだった。
ウリョンはヨンナムの体調を考えしばらくの滞在を希望するが、村長は親子を自宅の離れに泊めはするものの「泊めてやれるのは一晩だけだ。終戦している事は絶対に言うな」としつこく念を押し、追い出そうとする。
ところがその夜、村人がネズミ被害に困っていると知ったウリョンは、ここぞとばかりに「私はネズミ退治ができる」と言い出し「その間だけでも滞在させて欲しい」と頼み込む。
彼には、薬屋の客寄せ仕事で得た薬の知識があり、動物が笛の音に反応するという勝算があったのだ。
村長は彼を警戒し村人は半信半疑だったが、結局村長が「退治が終わるまでの滞在」を許し「成功すれば牛一頭分の報酬をやる」と言い、約束を取り交わす事に。
ところがその夜、村人がネズミ被害に困っていると知ったウリョンは、ここぞとばかりに「私はネズミ退治ができる」と言い出し「その間だけでも滞在させて欲しい」と頼み込む。
彼には、薬屋の客寄せ仕事で得た薬の知識があり、動物が笛の音に反応するという勝算があったのだ。
村長は彼を警戒し村人は半信半疑だったが、結局村長が「退治が終わるまでの滞在」を許し「成功すれば牛一頭分の報酬をやる」と言い、約束を取り交わす事に。
しかし、その村の『ネズミ』には特別な意味があった。
村長によれば、「中国軍が侵攻した際、村長は村人らを連れて逃げたが、頑健に村に残った巫女とライ病患者たちが、餓えたネズミに喰い殺されてしまった。以来村人らはネズミに怯え、ネズミが再び人を襲わないよう息子のナムスが猫の肉を与え続けているのだ」と涙ながらに語ったのだ。
同情したウリョンは、ヨンナムと2人でネズミの好む薬と嫌う薬を大量に作り、村人らに「薬はネズミには効果的だが、人間には悪臭と誘眠効果があるから絶対吸わないように」と前置きして、村を見下ろす山頂から散布。
薬にあたり逃げ惑うネズミの大群をうまいこと笛で誘導し、見事村外れの壕に追い込み閉じ込めたのだ。
村長によれば、「中国軍が侵攻した際、村長は村人らを連れて逃げたが、頑健に村に残った巫女とライ病患者たちが、餓えたネズミに喰い殺されてしまった。以来村人らはネズミに怯え、ネズミが再び人を襲わないよう息子のナムスが猫の肉を与え続けているのだ」と涙ながらに語ったのだ。
同情したウリョンは、ヨンナムと2人でネズミの好む薬と嫌う薬を大量に作り、村人らに「薬はネズミには効果的だが、人間には悪臭と誘眠効果があるから絶対吸わないように」と前置きして、村を見下ろす山頂から散布。
薬にあたり逃げ惑うネズミの大群をうまいこと笛で誘導し、見事村外れの壕に追い込み閉じ込めたのだ。
一方でウリョン親子は明るく愉快な人柄から一部の村人らと親しくなり、駆除の成功を機に信頼をも得る事に。
中でも新米巫女で親子の世話係になったミスクとは、ウリョンはもちろんヨンナムも母親のように慕い「村を出て一緒にソウルに行こう」と口説くが拒まれる。
実は彼女は夫が戦死し途方に暮れていたところを村長に拾われた余所者で、村での生活を保障する代わりに手下となり、死んだ巫女の代役するよう強要され、村長親子に監視されていたのだ。
中でも新米巫女で親子の世話係になったミスクとは、ウリョンはもちろんヨンナムも母親のように慕い「村を出て一緒にソウルに行こう」と口説くが拒まれる。
実は彼女は夫が戦死し途方に暮れていたところを村長に拾われた余所者で、村での生活を保障する代わりに手下となり、死んだ巫女の代役するよう強要され、村長親子に監視されていたのだ。
また村長が語った話も大嘘で、村長は元々足手まといに思っていたライ病患者らとそれを庇った巫女を置き去りにして逃げ、戻った時には入村を拒否されたため、彼らを騙して村外れの壕に閉じ込め、ネズミをけしかけて殺害し、力づくで村を奪い返したのだ。
その際死骸の中で一人生き延びた巫女は血膿に塗れたおぞましい姿で引き出されたものの、村長らを呪う予言をしたため、再び壕に閉じ込め生きたまま火を放ち焼き殺したのだ。
村長のその冷酷を目の当たりにしたミスクと村人らは、それ以降、戦火が届かぬこの山奥の隠れ里でのみ補償された『安寧』と引き換えに、冷酷無比な村長やネズミに怯える日々を送っていた、というのが真実だった。
その際死骸の中で一人生き延びた巫女は血膿に塗れたおぞましい姿で引き出されたものの、村長らを呪う予言をしたため、再び壕に閉じ込め生きたまま火を放ち焼き殺したのだ。
村長のその冷酷を目の当たりにしたミスクと村人らは、それ以降、戦火が届かぬこの山奥の隠れ里でのみ補償された『安寧』と引き換えに、冷酷無比な村長やネズミに怯える日々を送っていた、というのが真実だった。
しかし実際に外界では戦争が終わっており、村長の脅迫にも陰りが見え始めていて、外部と内通し終戦を聞きつけた一部の村人は、村長に巫女や患者殺し含めて全ての罪をおっかぶせて逃げ出そうと目論んでいたまさに矢先、巫女の予言通り『客(=ウリョン親子)』がやって来たのだ。
ミスクは村長を怖れるあまり何も言えぬまま、ウリョンに「絶対何も求めないで!報酬も何もかも諦めて逃げよう!」と必死にすがったが、彼は「それでは勘定が合わないよ」と笑い、村長と村人らが待つ集会場所に報酬を受け取りに行ってしまう。
ミスクは村長を怖れるあまり何も言えぬまま、ウリョンに「絶対何も求めないで!報酬も何もかも諦めて逃げよう!」と必死にすがったが、彼は「それでは勘定が合わないよ」と笑い、村長と村人らが待つ集会場所に報酬を受け取りに行ってしまう。
彼を待っていたのは本性を現した村長と、彼から「ウリョンはアカ(中国軍)のスパイだ、庇えば死刑になる」と刷り込まれ怯えきった村人たちで、村長は「スパイが人間に害がある怪しげな薬を散布した」として契約を反故にし、ウリョンの指を切り落とし村人らに暴行するようけしかけたのだ。
その暴行の最中、巫女姿で祓い棒を腹に突き刺し、血まみれで半死半生のミスクが茫洋と現れ、それまでの臆病な彼女とは打って変わって、虚ろな目を見開き自信ありげにこう言い放った。
「お前たちはここで悲惨な死に方をするだろう…私はこの約束を必ず守る!」
「…お客が来るぞ!本当のお客が来る!誰一人としてこの村からは出られない!」
「月の見えない夜と太陽の見えない昼…たった一日でおぞましい死に方をする!」…
それは村長や村人らに殺害された狂巫女の予言そのもので、ミスクはそれだけ言い放つと、役目を終えたかのように静かにこと切れたのだ。
その暴行の最中、巫女姿で祓い棒を腹に突き刺し、血まみれで半死半生のミスクが茫洋と現れ、それまでの臆病な彼女とは打って変わって、虚ろな目を見開き自信ありげにこう言い放った。
「お前たちはここで悲惨な死に方をするだろう…私はこの約束を必ず守る!」
「…お客が来るぞ!本当のお客が来る!誰一人としてこの村からは出られない!」
「月の見えない夜と太陽の見えない昼…たった一日でおぞましい死に方をする!」…
それは村長や村人らに殺害された狂巫女の予言そのもので、ミスクはそれだけ言い放つと、役目を終えたかのように静かにこと切れたのだ。
村人らはかつての巫女の予言をまざまざと思い出し震え上がるが、村長は親子に自ら握った毒入りの握り飯を持たせ、村から追い出してしまう。
親子は暫し森の中を彷徨うが瀕死のウリョンが気を失った隙に、ヨンナムがウリョンの笛を取り戻しに村に戻ったその帰り道、毒入りの握り飯を食べてしまい死亡する。
森の中でその亡骸を見つけたウリョンは慟哭し、村長と村人らへの復讐を決意する…。
親子は暫し森の中を彷徨うが瀕死のウリョンが気を失った隙に、ヨンナムがウリョンの笛を取り戻しに村に戻ったその帰り道、毒入りの握り飯を食べてしまい死亡する。
森の中でその亡骸を見つけたウリョンは慟哭し、村長と村人らへの復讐を決意する…。
■ 感想
なによりウリョン役「カエル少年失踪殺人事件」のリュ・スンリョンが圧倒的。昨今話題の道化メイクでも、これほど凄惨で憐れで絶望的な道化は見た事が無い。
対する村長役イ・ソンミンがまた凄まじい。彼の小利口な残忍さは、登場した時点から微かに漂い、ミスク役チョン・ウヒが怯える訳が判明した瞬間、ウリョン親子にただただ逃げて!と叫びたくなります。
対する村長役イ・ソンミンがまた凄まじい。彼の小利口な残忍さは、登場した時点から微かに漂い、ミスク役チョン・ウヒが怯える訳が判明した瞬間、ウリョン親子にただただ逃げて!と叫びたくなります。
本作のキーワードは『勘定』と『子供』で、当初事情を知らず本当に底抜けの善人で呑気で学が無いウリョンは、ただ暫しの休息と引き換えにネズミ駆除を申し出るんですが、村長は親子の行動をつぶさに監視し、いざという時の脅しのネタを収集した上で可能性を予測し、最終的には口封じまでをも計算し尽くした結果「牛一頭分の報酬」という圧をかけるのが本当に恐ろしい。
一方で、村人らは本当に浅ましく厚かましい烏合の衆で、冷酷非道な村長ですらただの道具に過ぎず、表向きは従うと見せかけ、用が済んだらとっとと見捨てて逃げ出す腹積もりというのも別な意味でゾッとさせられます。
そんな大人同士が互いにけん制し合う傍らで、その子供らはヨンナム役のク・スンヒョン始め皆大人の言いつけをよく守って気遣いをし、幼い子の面倒も見る良い子揃いなのがたまらない。
ヨンナムが村長宅でこっそり失敬する鉛筆、笛、ウリョンの袖の下=精力剤や洋モクの行方を追ううち、親子はあまりにあっけなく村長の術中に落ち、理不尽で残忍な仕打ちを受け、追い出される羽目に。
親子の別れのシーンはあまりに辛く幻想的で、ラストシーンも含めて見るたび胸が痛みます。
一方で、村人らは本当に浅ましく厚かましい烏合の衆で、冷酷非道な村長ですらただの道具に過ぎず、表向きは従うと見せかけ、用が済んだらとっとと見捨てて逃げ出す腹積もりというのも別な意味でゾッとさせられます。
そんな大人同士が互いにけん制し合う傍らで、その子供らはヨンナム役のク・スンヒョン始め皆大人の言いつけをよく守って気遣いをし、幼い子の面倒も見る良い子揃いなのがたまらない。
ヨンナムが村長宅でこっそり失敬する鉛筆、笛、ウリョンの袖の下=精力剤や洋モクの行方を追ううち、親子はあまりにあっけなく村長の術中に落ち、理不尽で残忍な仕打ちを受け、追い出される羽目に。
親子の別れのシーンはあまりに辛く幻想的で、ラストシーンも含めて見るたび胸が痛みます。
また瀕死のミスクの予言シーンも凄まじいですが、狂巫女(キム・ヨンソン)の予言の禍々しさにはもうただただ圧倒されるばかり。
完全な予言はあくまでも狂巫女の方で、その『勘定』とラストシーンの『勘定』は無情にも合致していて、全てを終えたウリョンの曰く言い難い表情の意味も腑に落ちるかと。
また中盤、その帳尻合わせが気になり始める一方で、ふと村長のある仕草が目に入る。それは昼となく夜と無く、笑顔の時も残忍な時もそしてほんの一瞬、息子ナムスと2人きりの時に見せる父親らしい顔の時も、その仕草が出るんですね。
確かに村長も村人らもそしてミスクも戦火を生き延びる事に必死だった。ただ村長だけは皆と思惑が異なり、彼が殺人を犯してまでも隠したかった真実、彼が本当に怯えていたのはなんだったのか、その隠れ里が必要だったのは果たして誰か、諸々考えさせられます。
完全な予言はあくまでも狂巫女の方で、その『勘定』とラストシーンの『勘定』は無情にも合致していて、全てを終えたウリョンの曰く言い難い表情の意味も腑に落ちるかと。
また中盤、その帳尻合わせが気になり始める一方で、ふと村長のある仕草が目に入る。それは昼となく夜と無く、笑顔の時も残忍な時もそしてほんの一瞬、息子ナムスと2人きりの時に見せる父親らしい顔の時も、その仕草が出るんですね。
確かに村長も村人らもそしてミスクも戦火を生き延びる事に必死だった。ただ村長だけは皆と思惑が異なり、彼が殺人を犯してまでも隠したかった真実、彼が本当に怯えていたのはなんだったのか、その隠れ里が必要だったのは果たして誰か、諸々考えさせられます。
クライマックスのネズミの襲撃シーンはまさしく大スペクタクルで、詰んだ勘定が一つ一つ合っていくのが、怖ろしくもありある意味爽快でもあり。
全てを奪われたウリョンの慟哭は深い山に染み入り、狂巫女を含め村長の犠牲となった全ての者の怨恨を背負うかのように、自らの命を削り準備する彼の姿は、それまでの人の良いとぼけたおっちゃんとは真逆の、狂気に満ちた悲痛なおぞましさを醸しています。
そして何より子供たち。そこまで精密に勘定を合わせんといかんか?と叫び出したくなりますが、そこをこそ絶対抜かない、この詰めのキツさこそが韓国ホラーの魅力かと。
作中ずっと赤ん坊や小さな子の面倒を見てたお兄ちゃん役チョルス(演/チョン・ジュノン。ウリョンに精力剤をねだる男(演/チョン・ギョンホ)の長男 10歳くらい)の戸惑いと不安の表情がもうたまらないんすよ><、
韓国ホラーは童話ベースの作品も多いですが「ハーメルンの笛吹き男」が暗喩する暗黒史を彷彿とさせる名作だと思います。
全てを奪われたウリョンの慟哭は深い山に染み入り、狂巫女を含め村長の犠牲となった全ての者の怨恨を背負うかのように、自らの命を削り準備する彼の姿は、それまでの人の良いとぼけたおっちゃんとは真逆の、狂気に満ちた悲痛なおぞましさを醸しています。
そして何より子供たち。そこまで精密に勘定を合わせんといかんか?と叫び出したくなりますが、そこをこそ絶対抜かない、この詰めのキツさこそが韓国ホラーの魅力かと。
作中ずっと赤ん坊や小さな子の面倒を見てたお兄ちゃん役チョルス(演/チョン・ジュノン。ウリョンに精力剤をねだる男(演/チョン・ギョンホ)の長男 10歳くらい)の戸惑いと不安の表情がもうたまらないんすよ><、
韓国ホラーは童話ベースの作品も多いですが「ハーメルンの笛吹き男」が暗喩する暗黒史を彷彿とさせる名作だと思います。
■ 合わせておススメ
(2011年/韓国) 韓国の三大未解決事件といえば、”華城連続殺人事件”(2019年すでに別件で服役中だった真犯人が判明)をモチーフにしたポン・ジュノ監督/ソン・ガンホ主演の「殺人の追憶」(2003年)、”イ・ヒョンホ君誘拐事件”をモチーフにした名優ソル・ギョング主演の「あいつの声」(2007年)が知られていますが、本作はその一つ”カエル少年事件”をモチーフにしたサスペンス映画です。
1991年、韓国の片田舎大邱(テグ)で5人の小学生が「山にカエルを獲りに行く」と出掛けたまま帰らず、その後大捜索が行われるが見つからず、マスコミが押し寄せる大騒動に発展。
ドキュ番組のヤラセが発覚し地方局に左遷されたばかりのやり手プロデューサー=カン(パク・ヨンウ)は再起のチャンスとばかりに事件に食いつき、ドラマチックに盛り上げるため”両親が殺害説”を唱える大学教授ファン(リュ・スンリョン)の意見を採用。疑惑の的となった両親らはマスコミの餌食となり、ついには警察による家宅捜査も行われるが…。
事件発生から時効となるまでの16年間の人間ドラマがメインなので、犠牲となった少年らや長年疑惑の目を向けられ続けた両親の傷ましさを描く一方で、マスコミ側の主人公カンやファン教授の野心と後悔の描き込みも素晴らしい。
さんざ疑われてマスコミに好き放題書き立てられ、家探しまでされてなお憮然として言い返さなかった被害少年ジョンホの父親(ソン・ジル)が泣くシーンがたまらないんですよ。
「疑われる事なんかどうでもいい。みんなうちの子が死んだと思ってる。あの子は生きてると誰も否定してくれない」
やがて親の何人かは「せめて一目だけでも」と切望しつつ疲れ果てて潰え、教授も去り、カンもまた親となり老け込んで自責の念に責め苛まれる中での新展開が実におぞましく怖ろしい。
実際の事件は未解決だし2024年現在何やらキナ臭い噂もあるようですが、「事件を風化させてなるものか!」という義憤は十二分に伝わるし、たとえ仮定でもこの結末は本当に見事だし、ぜひその目で確認していただきたい。韓国サスペンスここにありという名作だと思います。
1991年、韓国の片田舎大邱(テグ)で5人の小学生が「山にカエルを獲りに行く」と出掛けたまま帰らず、その後大捜索が行われるが見つからず、マスコミが押し寄せる大騒動に発展。
ドキュ番組のヤラセが発覚し地方局に左遷されたばかりのやり手プロデューサー=カン(パク・ヨンウ)は再起のチャンスとばかりに事件に食いつき、ドラマチックに盛り上げるため”両親が殺害説”を唱える大学教授ファン(リュ・スンリョン)の意見を採用。疑惑の的となった両親らはマスコミの餌食となり、ついには警察による家宅捜査も行われるが…。
事件発生から時効となるまでの16年間の人間ドラマがメインなので、犠牲となった少年らや長年疑惑の目を向けられ続けた両親の傷ましさを描く一方で、マスコミ側の主人公カンやファン教授の野心と後悔の描き込みも素晴らしい。
さんざ疑われてマスコミに好き放題書き立てられ、家探しまでされてなお憮然として言い返さなかった被害少年ジョンホの父親(ソン・ジル)が泣くシーンがたまらないんですよ。
「疑われる事なんかどうでもいい。みんなうちの子が死んだと思ってる。あの子は生きてると誰も否定してくれない」
やがて親の何人かは「せめて一目だけでも」と切望しつつ疲れ果てて潰え、教授も去り、カンもまた親となり老け込んで自責の念に責め苛まれる中での新展開が実におぞましく怖ろしい。
実際の事件は未解決だし2024年現在何やらキナ臭い噂もあるようですが、「事件を風化させてなるものか!」という義憤は十二分に伝わるし、たとえ仮定でもこの結末は本当に見事だし、ぜひその目で確認していただきたい。韓国サスペンスここにありという名作だと思います。
(2016年/韓国) 我が国が誇るベテラン俳優國村隼が謎の日本人を怪演、褌一丁で野山を駆け回る彼に散々振り回された挙句、うおおそこにオチるか!と慄然とすることうけあいのオカルト・サスペンスです。
監督/脚本は「女神の継承」(2021年 原案/製作)、「チェイサー」(2008年)のナ・ホンジン。本作のミスク役チョン・ウヒがミステリアスな女性ムミョン(無名)を好演、主人公ジョング役カク・トウォンは言わずもがな、彼の娘役(子役)キム・ファニも「震える舌」の少女級の凄まじさを見せてくれます。
韓国の風光明媚な田舎町谷城(コクソン)で相次ぐ謎の無理心中事件の捜査に当たった地元警察の中年警官ジョング(カク・トウォン)。彼は妻とその母親(義母)と娘の4人家族でさして仕事熱心でもないフツーの男。家族思いで地元の連中とも仲がいいが深酒はせず、道楽や信心も無い。ただ事件の頻発と共に度々現場に呼び出され、同時に悪夢にうなされる日々を送っている。
事件は普通の人々が発熱や発疹を機に発狂、家族を惨殺して自死する異様なモノで、様々な原因説が飛び交う中、山中を褌一丁で徘徊し鹿の生肉を食らうなど奇矯な行動をしている”謎の日本人”(國村準)に疑惑がかかるが、男を追い回すうちジョングの娘にも異変が起き始め…。
何度見ても冒頭の聖書の一節が中盤くらいには完全にぶっ飛んでるんすよw 事件はあまりに酷いし何やらブードゥー臭いし祈祷も大迫力って流れがあってからの、神父しかも同僚の甥っ子でいかにも気弱そうな助祭(身内過ぎるw)が”謎の日本人”との通訳として参加って、実はそこからが本題。けど思い余って司祭に相談しても「あの”日本人”は、大学教授とも高僧とも聞いてるが…」とまるで話にならない。また満を持して登場する若く霊験あらたかそうな巫堂(ムーダン)も祈祷はド派手だし哲学的な助言をもたらすものの、決定打にはならない。
そんな中何度も酷い死に様(=災難/奇跡/秘術とも)を見せつけられるんで、ついにラスボスってなった時の圧があまりに凄まじ過ぎて^^;
見るたび新たな気づきがあり感動がある。配信もまだまだありそうなので、心行くまで揺さぶられて下さい。
監督/脚本は「女神の継承」(2021年 原案/製作)、「チェイサー」(2008年)のナ・ホンジン。本作のミスク役チョン・ウヒがミステリアスな女性ムミョン(無名)を好演、主人公ジョング役カク・トウォンは言わずもがな、彼の娘役(子役)キム・ファニも「震える舌」の少女級の凄まじさを見せてくれます。
韓国の風光明媚な田舎町谷城(コクソン)で相次ぐ謎の無理心中事件の捜査に当たった地元警察の中年警官ジョング(カク・トウォン)。彼は妻とその母親(義母)と娘の4人家族でさして仕事熱心でもないフツーの男。家族思いで地元の連中とも仲がいいが深酒はせず、道楽や信心も無い。ただ事件の頻発と共に度々現場に呼び出され、同時に悪夢にうなされる日々を送っている。
事件は普通の人々が発熱や発疹を機に発狂、家族を惨殺して自死する異様なモノで、様々な原因説が飛び交う中、山中を褌一丁で徘徊し鹿の生肉を食らうなど奇矯な行動をしている”謎の日本人”(國村準)に疑惑がかかるが、男を追い回すうちジョングの娘にも異変が起き始め…。
何度見ても冒頭の聖書の一節が中盤くらいには完全にぶっ飛んでるんすよw 事件はあまりに酷いし何やらブードゥー臭いし祈祷も大迫力って流れがあってからの、神父しかも同僚の甥っ子でいかにも気弱そうな助祭(身内過ぎるw)が”謎の日本人”との通訳として参加って、実はそこからが本題。けど思い余って司祭に相談しても「あの”日本人”は、大学教授とも高僧とも聞いてるが…」とまるで話にならない。また満を持して登場する若く霊験あらたかそうな巫堂(ムーダン)も祈祷はド派手だし哲学的な助言をもたらすものの、決定打にはならない。
そんな中何度も酷い死に様(=災難/奇跡/秘術とも)を見せつけられるんで、ついにラスボスってなった時の圧があまりに凄まじ過ぎて^^;
見るたび新たな気づきがあり感動がある。配信もまだまだありそうなので、心行くまで揺さぶられて下さい。
(2018年/韓国) 平凡な中年サラリーマン=ハン(イ・ソンミン)は、損保会社のベテラン社員で妻スジン(チン・ギョン)と幼い娘の3人家族で、夢のマイホーム=山間の造成地に建つ高級マンションを購入/入居したばかりだが、その入居祝いから帰宅した深夜、マンション中庭で女性が殺害される場面を目撃、犯人には部屋番を知られつけ狙われる羽目に。
無言電話やバイクに付け回される中、叩き上げで勘の鋭いチャン刑事(キム・サンホ)に度々声をかけられるが、そのたび犯人の姿を見かけ冷や汗を流し「知らない、見てない」というのが精いっぱい。
彼が恐れたのは(ローンがあるからw)自分が死ぬのももちろん家族が巻き込まれる事で、結局妻にも打ち明けられぬまま、証言者の1人主婦ソヨンにも気づかれ「あなたも見たでしょ!一緒に署に行って証言して!」と迫られるが拒否したため事態は更に悪化し…。
この夫婦、実は曲がった事が大キライなんすよ。だからハンは、本当は損保の仕事に向いてないかもだし、冒頭交通事故の捜査の理不尽を訴える母親の力にもなりたかったのかもしれない。
方や妻スジンは「資産価値が下がるから」と言う理由で住民が結託して事件や失踪人探しへの協力を拒む姿勢に、静かにムカついてる。で、少々ガサツな印象なんだけどともかく強い。一本筋が通ってると言うか肝っ玉が座ってると言うか。でもそこが物語の根幹じゃないし逆にあえて大写しにならないとこがスゲー頼もしいし、ハンはそれが十分過ぎるほどわかってるのがスゲーいい夫婦だなぁと。
そんな妻を見てハンはそのたび「イヤだけど家族を守るため仕方がない」と言葉を飲み込む。その気持ちは痛いほどわかる。
結果は見てのお楽しみだけど、最終的には頼れる妻の一言で奮起し、まさしく窮鼠猫を噛む反撃を見せる(クライマックスはハンというよりソンミン氏大丈夫?^^;ってなるほどの壮絶ガチバトル&スペクタクル)元気になれる人情サスペンスに仕上がってるかと。
ちなみに証言者ソヨンの夫役キム・ソンギョンは「ファイ 悪魔に育てられた少年」(2013年)では父親の一人で快楽殺人者のドンボム役、「奈落のマイホーム」(2021年)では今作と同じ夢のマイホームがスゴイ事になる主人公役を好演してるのでぜひ。
無言電話やバイクに付け回される中、叩き上げで勘の鋭いチャン刑事(キム・サンホ)に度々声をかけられるが、そのたび犯人の姿を見かけ冷や汗を流し「知らない、見てない」というのが精いっぱい。
彼が恐れたのは(ローンがあるからw)自分が死ぬのももちろん家族が巻き込まれる事で、結局妻にも打ち明けられぬまま、証言者の1人主婦ソヨンにも気づかれ「あなたも見たでしょ!一緒に署に行って証言して!」と迫られるが拒否したため事態は更に悪化し…。
この夫婦、実は曲がった事が大キライなんすよ。だからハンは、本当は損保の仕事に向いてないかもだし、冒頭交通事故の捜査の理不尽を訴える母親の力にもなりたかったのかもしれない。
方や妻スジンは「資産価値が下がるから」と言う理由で住民が結託して事件や失踪人探しへの協力を拒む姿勢に、静かにムカついてる。で、少々ガサツな印象なんだけどともかく強い。一本筋が通ってると言うか肝っ玉が座ってると言うか。でもそこが物語の根幹じゃないし逆にあえて大写しにならないとこがスゲー頼もしいし、ハンはそれが十分過ぎるほどわかってるのがスゲーいい夫婦だなぁと。
そんな妻を見てハンはそのたび「イヤだけど家族を守るため仕方がない」と言葉を飲み込む。その気持ちは痛いほどわかる。
結果は見てのお楽しみだけど、最終的には頼れる妻の一言で奮起し、まさしく窮鼠猫を噛む反撃を見せる(クライマックスはハンというよりソンミン氏大丈夫?^^;ってなるほどの壮絶ガチバトル&スペクタクル)元気になれる人情サスペンスに仕上がってるかと。
ちなみに証言者ソヨンの夫役キム・ソンギョンは「ファイ 悪魔に育てられた少年」(2013年)では父親の一人で快楽殺人者のドンボム役、「奈落のマイホーム」(2021年)では今作と同じ夢のマイホームがスゴイ事になる主人公役を好演してるのでぜひ。