あやし野ビデオ館

怖い映画をご紹介しています

モキュメンタリー沼 第2章 アレ的なモノに侵略される恐怖

もしも家族や隣人が見た目そのままで中身だけ別なナニカに変化してたら。しかも被害は(これ見よがしに)拡大しつつあって、必死で食い止めようとご近所さんとか警察に訴えても「アンタの方がイカレてる」とスルーされたら…。
今回は、そんな恐怖をあえて味わいたいという好事家向けモキュ&非モキュをご紹介。

 

「THE 4TH KIND フォース・カインド」

2009年/アメリカ オラントゥンデ・オスサンミ監督
我らがミラジョボがガチで「これは真実です!」と訴えかけるTVスポットだけでガッツリ♥をわし捕まれた怪作。
舞台はアラスカ州の実在の村ノーム。主人公は村周辺で頻発する不眠症患者とその失踪事件を研究していた心理学者タイラー博士で、作中インタビュー等々記録映像では本人、再現ドラマ部分を「実際に記録映像を数時間見て信じた」と言い切るミラ・ジョボビッチが演じている。
再現ドラマ部分はともかく”記録映像”が怖ろしく、中でもフクロウの幻影を見るうち不眠に陥り一家心中を遂げる男や、フクロウを見るから寝るのが怖いと訴える患者に催眠療法を試した結果、エクソシスト張りの怪現象が起こるシーンは一見の価値あり。
また記録映像部分に登場する”タイラー博士本人”の佇まいも最高だし、エンディングに流れる”被害者の実際の音声”も鬼気迫るものがある。
現在wikiるとその後諸々モメたっぽい事が分るが、何度も言うがモキュの大前提として信じる信じないはあなた次第、全員がまーたまた!って笑っても問題は「心当たりがある場合」。どんな状況にせよ、目覚めたら「昨晩アレ系に連れ去られ酷い目に遭った。夢だとも思ったけどほらここに傷が!(最悪妊娠)」ってなれば、やっぱ諸々怖いんだろうなぁと思わせてくれる1本。
フクロウ怖い。

 

「スナッチャーズ・フィーバー 喰われた町」

2014年/カナダ ジェイ・ダール監督
舞台はカナダの田舎町。映像科の大学生4人が教授から頼まれ、大学の紹介ビデオ制作のため卒業生を取材する事に。ところが町の人々はどこか奇妙で、彼らをガン無視して棒立ち、かと思えば異様に歪んだ顔で驚かされたり。歯医者では幼い少女が小声で「あれはパパだけどパパじゃない。助けて」と訴える。
TVではインフルエンザによる奇行と、家族が別人に思える精神病症状「カプグラ症候群」のニュースが流れる中、モーテルの部屋には中年女性が乱入。「夫が別人になった」と訴えるが、至極普通の家族が心配した様子で連れ戻されていく。
町では確かに異様な人々に遭遇したが、教授の課題も投げ出せない。 果たして彼らは無事取材を終え、帰宅できるのか…。
ぶっちゃけメインはCG顔ドッキリだし、やる気の無い学生による撮影という設定なので、一見ダラダラしたスタートなんだがさにあらん。
前半の弁当とか歯医者の一件とかモーテルの中年女性とか、些末なのに不気味で確証が無い畳み掛け(実は見えてないようでがっつり見せられているモキュの高度なテクニック)が実に見事で、ヤダ今の見た?えこれマジ?ってオロつくうち、気づいたらうちらだけ?って終末感があまりに絶望的でかなり怖い。
実はホラーの大基本なんすけど、このメンバーもなんだかんだ言って逃げない投げ出さない真面目ちゃんなんすよね(遠い目)
このドッキリはね、…マジ夢に出ますよw

 

■ 非モキュおススメ

 

「パラサイト」

1998年/米/ロバート・ロドリゲス監督、出演/イライジャ・ウッドジョシュ・ハートネットジョーダナ・ブリュースター、クレア・デュバル、ローラ・ハリス、ロバート・パトリックファムケ・ヤンセンパイパー・ローリー
オハイオ州のハイスクールでいじめられっ子のケイシー(イライジャ)が見つけた小さな謎生物の死骸。それは水に入れると蘇生し凶暴化して逃げ去った。
騒動に巻き込まれたのは化学に詳しく自作のクスリや偽造免許で小銭を稼ぐ留年生ジーク(Jハートネット)、ゴス系陰キャでSFオタのストークリー(Cデュバル)、新聞部部長でチアリーダーのデライラ(Jブリュースター)、ダサいが真面目そうな転校生メリーベス(Rハリス)。
気づけば教師らのほとんどが異常なほど水をがぶ飲みしていて、中でも鬼コーチ=ジョー(Rパトリック)率いるフットボールチームは、土砂降りのグラウンドで空を見上げて突っ立ち、その身体からはニョロついたナニカが…。
青春やSF、特撮が詰まったオモチャ箱みたいな快作。ホラーファン爆泣きの豪華キャストだけで十分ご飯3杯イケるが、CG&特撮も凝りに凝ってて物体X張りの首だけ歩きとかプールでいきなりハッスルするタコも最高。
ただ問題は 、タコの目的が侵略か捕食かドッキリなのかは判然とせず。まーパーッと行こうやパーッとね!ってノリだけは確かなんで超楽しいから見て!

 

「ヒドゥン」

1987年/米/ジャック・ショルダー監督、出演/マイケル・ヌーリー、カイル・マクラクラン、クローディア・クリスチャン他
ロスで突如発生した連続凶悪事件。捜査に乗り出したのはロス市警のベテラン刑事トム(Mヌーリー)と冷静沈着なイケメンFBI捜査官ロイド(Kマクラクラン)。
犯人はその直前まで真面目実直だったリーマンや実業家、果ては超絶セクシーなストリッパー(Cクリスチャン)で様々、なのになぜか真っ赤なスポーツカーで暴走し, 大音響のロックにノリノリで殺戮し、銃撃などものともしないタフさが共通点だった。彼らの暴走を止める方法やいかに!
冒頭からド派手な殺戮が痛快で、叩き上げで家族思いの正義漢トムと、常に冷静むしろ(イケメンなんでw)冷徹で無感情に見えるがどうやら”常識”が欠けてるロイドのバディ感が仕上がってくと同時にその原因が明らかになってく展開が見事。
冒頭凶悪なおっさん始まりだけど、バトンは間もなく
銃器ガンガンぶっ放す超絶セクシーストリッパーにってとこで男子向けサービスは満点、その上カルト神デヴィット・リンチの「デューン/砂の惑星」(1984年)「ブルーベルベット」で大注目されてたイケメン=カイルの(ようやくフツーに見れるw)待望の3作目で、そのキュートな天然っぷりやトムとの危う…いやナイスなバディ感にキュン死した女子も多かったはず。
いわゆる寄生モノなんすけど、同じ宇宙人でも悪玉はキモい芋虫型で口から強引に侵入、寄生されたが最後真っ当な紳士だったのがコンプラガン無視で殺戮はもとよりゲップやオナラし放題ってとこが酷いw^^; 一方善玉はキラキラのエナジー的なモノでちょっとズルい。怖ドコロはその悪玉にとって人間は性別美醜問わずただのカブリモノでぶっ壊れようがお構いなしってトコ。
ちなみにカイルは善玉なんで、芋虫とか吐かないんで。念のため(そこ?)。

 

「盗まれた街」(ハヤカワ文庫)

1955年/米。ボディスナッチャー系映画の大元となったジャック・フィニィの原作小説。巨大なサヤ状の未知の生命体が複製人間を作りすり替える、複製は無感情で指紋が無いなど微妙な差異があるというアイデアはここから。
その4年前の1951年にもSFの大家R・A・ハインラインの「人形つかい」(ジュニア版・世界のSFでは「タイタンの妖怪」)があったが、そちらは巨大なナメクジ状の生物に知らぬ間に貼り付かれ操られるアイデアで、ナメクジを見つけ次第駆除できるよう裸で過ごすなど画的に実写化し難かったのか、日本では劇場スルーでビデオ化のみの「ブレイン・スナッチャー/恐怖の洗脳生物」(1994年/米/スチュアート・オーム監督/出演ドナルド・サザーランド他)のみ。未見だが評価は悪くはないので配信されたら見逃すな!

 

「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」

1956年/米/ドン・シーゲル監督
ダーティハリー」「白い肌の異常な夜」等々Cイーストウッドとのタッグで知られるドン・シーゲル監督によるモノクロのSFスリラー。
宇宙からサヤ型の謎生物が飛来し複製人間を量産して町を侵略しパニックになる話。いち早く気づいて必死で対策を訴える主人公マイルズを「トワイライトゾーン/超次元の体験」(1983年)の「子供の世界」の化けウサギにヒーってなる叔父さん役だったケヴィン・マッカーシーが演じている。
往年の名作SFのド定番なのに未見なのでいつか絶対見る(宣言)。

 

「SF/ボディスナッチャー」

1978年/米/フィリップ・カウフマン監督 出演/ドナルド・サザーランドレナード・ニモイジェフ・ゴールドブラム、ヴェロニカ・カートライト他
サンフランシスコの公衆衛生調査官マシュー(Dサザーランド)が、同僚のエリザベスから「恋人が別人のようになった」と相談され、周辺でも同様の珍事が頻発。
顔馴染の精神科医キブナー(Lニモイ)も最近そう訴える患者が急増してると言い、詩人ジャック(Jゴールドブラム)の妻で泥風呂スタッフのナンシー(Vカートライト)は、細い繊維状のナニカに覆われた死体のようになった客を見て悲鳴を上げる。
4人は最近周辺で見かける新種の植物に着目、それは宇宙から飛来した未知の生物で、睡眠中の人間から情報を読み取り、サヤ型の実の中に複製人間を作り、すり替わっているらしいと気づくが…。
コレ系常連のDサザーランドはさておき、往年のSF「スタートレック」のスポック役で知られるLニモイ、「ザ・フライ」ブレイク前のJゴールドブラム、「エイリアン」の(リプリーじゃない方)ランバート役Vカートライトって豪華夢の共演。
このVカートライトはいいよぅマジで。予告にも垣間見えるがまさしく助演女優賞レベの大活躍で、彼女がなぜランバート役に抜擢されたのかがよく解るベストアクトかと。
リメイクなんでストーリーはそれなりだが伏線の仕込みと回収はきっちりしてるし、眠ると襲われるハラハラドキドキや、特撮も凝っててかなりエグイ。また小技のトラウマシーンも多く、日本発祥みたいに思われてる人面犬も元祖はコレ。
この人面犬「見てんじゃねーよ」とは言わないが、実は出てきた瞬間あまりに憐れで爆泣き必須なのだ><、

 

「ボディ・スナッチャーズ」

1993年/米/アベルフェラーラ監督 出演/ガブリエル・アンウォー、メグ・ティリー、テリー・キニー、フォレスト・ウィテカー
米南部郊外の軍事施設。その環境調査にやってきた父スティーヴ(Tキニー)とその家族=後妻キャロル(Mティリー)、長女マーティ(Gアンウォー)と幼い弟アンディは、しばらく施設内の宿舎で暮らす事に。
年頃のマーティは、途中のGSのトイレで脱走兵らしき黒人に「奴らは寝るとやってくる!早く逃げろ!」と迫られ、田舎町にも父親の恋人気取りで母親面する後妻キャロルにもゲンナリだったが、将軍の娘で奔放なジェンと知り合い、彼女もまた居丈高な父親(将軍)やアル中の母親といった闇があると知り親友になる。
一方、父スティーヴは施設がなぜか有害物質塗れだと知り、軍医のコリンズ少佐(Fウィテカー)にも「寝るのが怖い。不眠でおかしくなる兵士が多い」と言われるがどうにもできず、施設内の幼稚園ではなぜか皆同じ絵を描き、異常視されたアンディが通園拒否。また抜け殻のようになったキャロルを見たと言い拒絶する。
密かに連れ去られる狂った兵士、その異様な体内、コリンズ少佐の狂気と拳銃自殺、そして沼から無数に引き上げられる繭のようなナニカ、唐突に問題行動が収まる人々、ついにはそもそも調子っぱずれではあったが真っ当だった愛妻キ ャロルまでもが…。
前作より規模も小さく、頼みのウィテカーも要は脇役で期待外れは否めないが、キュートな後妻メグ・ティリーだけでもご飯3杯イケます。好きだなメグ・ティリー(惚)

 

「アレ的なモノに(知らぬ間に)侵略される、すり替わられる、コントロールされる」…。
他にも町中の女が突如妊娠し変異した子供が生まれるJカーペンターの初期作「光る眼」、少年に届いたキノコの栽培セットから始まる萩尾望都の短編「ぼくの地下室へおいで」の原作レイ・ブラッドベリの短編「少年よ、大茸をつくれ!」…。
70年代には、火星人はタコだけど金星人はパツキンのグラマー美人って程度でキャッキャしてた人類が、どうよ旧作だけでもこのバリエw
宇宙は広い、そしてまだ人類が知る由も無い未知なる存在がほらあなたの後ろに…(とぅるるるとぅるるる♪「トワイライトゾーン」のテーマ) 
てことで 次回は「見た目はうちの子だけどこんな子知らない」”取り替えっ子”の恐怖 お楽しみに!