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モキュ沼 第3章 いたら怖いゾンビ&UMA&エイリアン 非モキュ編 第2弾

「モキュ沼 第3章 いたら怖いゾンビ&UMA&エイリアン」の続きで、今回は非モキュ=フィクションだけど、いそうで怖い、マジでフィクション?ってくらい設定、造形がキマってるおススメ作をご紹介の第2弾。今更?ってメガヒット作は昨今配信でもちょいちょいかかるんで、いい時代になったなぁと思う反面、スマホのちっさい画面ではなくぜひ大画面でご賞味あれ。

 

 

 

「遊星からの物体X」

(1982年/米) 1982年の米南極観測隊基地。12人の隊員が観測越冬中、ノルウェー隊のヘリが逃げ惑うハスキー犬を銃撃するのを目撃。静止を拒否した乗員を射殺しヘリは墜落大破。
救出された犬は人懐こく穏やかだったため、基地内でしばし放し飼いにされる。
ノルウェー隊の行動を不審に思ったヘリ操縦士マクレディ(カート・ラッセル)ら数名が彼らの基地に向かうが、内部は激しく破壊され生存者はおらず、外で焼かれたと思しき不気味な遺骸を持ち帰る。
その遺骸は、苦しみ藻掻く複数の人間が混ざり合ったかのような異様なモノで、主任生物学者のブレアらも興味を持つが、やがて徐々に溶け出し…。
一方、保護された犬は、音も無く基地内を徘徊するため、夜には飼育係が犬舎に入れ明かりを消すが、間もなく激しく痙攣して変形、割れた顔面から這い出した触手は、怯え狂い逃げ回る他の犬たちに襲い掛かり…。

「E.T.」がメガヒットした年、同じくキング&ロメロの名作「クリープショー」(1982年)と共に、危うく埋もれかけたジョー・カーペンター監督によるまさしく神作。
この前代未聞の宇宙生命体『物体X』の特殊造形を担当したのはロブ・ボッティン(ハスキー犬の”ドッグ・モンスター”はスタン・ウィンストン・スタジオ)。若くして「狼男アメリカン」のリック・ベイカーに師事した後、独立。後に「グレムリン」等々で知られるジョー・ダンテ監督の「ハウリング」の『狼男』の特殊メイクを担当。稀有な特殊メイクが話題となり、1980年度第8回サターンホラー映画賞を受賞しシリーズ化もされた。
しかしながら、この『狼男』は旧タイプ(暗所で獰猛ムキマッチョな狼人間に変身して女性を襲う男性性の象徴的)だったため、順序としては先に公開された「ハウリング」(1981年3月)を見たベイカーがその上をいく「狼男アメリカン」(1981年8月)を発表、ボッティンはさらにその上をいくこの「物体Ⅹ」を翌年に公開したわけだ。
このせめぎ合いはまさしく映画史を揺るがす大変革で、洋画ホラー界隈は、これと並走していたロメロ等々のゾンビ物を筆頭にスプラッター、スラッシャー、ジャッロ等々が入り乱れ、瞬く間にグチャドロ変形パラダイスに。
おっとり刀で参戦した日本でも、我らが円谷プロ製作の「餓鬼魂(がきだま)」(1985年)、ホラー雑誌”V⁻ZONE”による「GUZOO 神に見捨てられしもの」(1986年 ※リンクは『ちまつり!!スプラッター部(略称:ちまスプ)』氏)、飯田譲二監督の知られざるデビュー作「キクロプス CYCLOPUS」(1987年 ※リンクは『ちまつり!!スプラッター部(略称:ちまスプ)』氏)、「学校の怪談」(1995年第1作)の用務員(佐藤正宏)が化ける物体Ⅹ様のモンスター”インフェルノ”等々のモンスターを生み出す結果となった。
しかしながら、本作は厳冬の南極観測基地という密室、しかも男性のみのチーム内で起こる疑心暗鬼サスペンスなんで、「心臓バックリのおっちゃん」とか「チョンパした首がクモ化するおっちゃん」とかで覚えがちな隊員も、全員博士や学者だし高度な技術者で、怪物化以外にもきっちり仕事してるし、キャラもビンビンに立ってるんで。
またなぜノルウェー基地スタートだったのか、果たして『物体Ⅹ』とは何ぞや、またその十数年後に世界を席巻する『未知のナニカに感染し、変容する恐怖』等々の解明部分も実にSFチックで面白く、おっちゃん方も怪物化以外にもきっちり仕事してるので念のため。ほんと見るたび気づきがあるんでちゃんとつぶさに見て。何回見ても飽きないおかわり作なんで。
あ。誰も書かないんで書いとくね。このおよそ犬らしくない不気味なハスキー犬役は名優ジャド号。彼含めて犬は無事じゃないので犬好きさんは要注意。

 

 

「グエムル-漢江の怪物-」

(2006年/韓国) 2000年韓国 漢江。在韓米軍基地から大量に遺棄されたホルムアルデヒドにより奇形生物が発生し、人知れず人肉の味を覚えつつ巨大化。
漢江の河川敷で父(ピョン・ヒボン)と売店を営むサエない中年男カンドゥ(ソン・ガンホ)は、土手を突進してくる巨大で異様なナマズのような怪物を目撃。ソレは人々を跳ね飛ばし、食い散らかし丸呑みにし、あたりは阿鼻叫喚の地獄と化す。彼は事態に気づかず売店から出てきた中学1年の一人娘ヒョンソ(コ・アソン)を連れて逃げようとするが、あえなくその長い尾に捕まり浚われてしまう。
合同葬には、カンドゥの父、大卒だが無職の弟ナミル(パク・ヘイル)、アーチェリー選手の妹ナムジュ(ペ・ドゥナ)が集まり悲しみに暮れるが、政府はその怪物が未知のウィルスのホスト(宿主)と断定。カンドゥ一家や犠牲者家族らを消毒し、施設に隔離してしまう。
しかしその夜、カンドゥの携帯にヒョンソから電話があり生存を確信。救出のため家族全員が脱走し怪物を追うが…。

「殺人の追憶」(2003年)、「パラサイト 半地下の家族」(2019年)等々人情系サスペンスで知られるポン・ジュノ監督による、なんと韓国初の『怪獣映画』だったそうで、この怪物は当時最先端のフルCG&アニマトロニクス。
怪物のデザインはチャン・ヒチョルがポン監督と数年掛かりで練り上げたもの。公開当時日本ではこの巨大ナマズ様のデザインが諸々言われたようだが、初期段階ではカマドウマ的な昆虫型だったモノを「漢江という水中や水辺に生息する両生類か爬虫類のような生物が汚染物質により奇形化。体は異常に肥大して変形、表皮はデキモノに覆われ、常に苦痛を感じているためヒステリックで攻撃的」という生態や性格付けが定まるにつれ、あの形になったのだとか。
またその間「アバタ―」(2009年)、「ロード・オブ・ザ・リング」(2001年~)等々で知られるWATAデジタルと交渉を重ねたそうだが価格が折り合わず破談となったものの、Rテイラー氏にヒチョル氏制作の怪物の立体模型を見せたところ、WATAのクリエーター導入が決定。 細部が決まったところで3Ⅾデータ化し、かの I.L.M. 出身者が多く価格が安かった「ハリーポッターと炎のゴブレット」(2005年)のオーファネージへと引き継がれ、あの驚異の怪物が完成したのだそう。

借り盤初見だったが、漢江の土手に出現し暴れまわる怪物を、高架を走る電車の車窓から乗客らが見下ろすシーンを見た瞬間愕然としてしまい。かつて田園都市線の二子玉川駅近くに二子玉川園という遊園地があって。それを川崎から多摩川越えて都内に向かう通勤電車から見下ろすと、ちょうどあの感じでw
当時の川崎は公害の町で、実家近くで多摩川と並走する鶴見川は特に、工業廃水等で汚染され(実際、職場では「フィルムの現像液(水銀含む)は水で薄めて(フツーの排水溝に)流せよ」と言われてた^^;)日野日出志のマンガみたいな不気味な虹色の泡がいつも湧いてて^^;
あの頃は多摩川も相当なもんだったが、鶴見川には確実にいたね、このグエムルが。ガチでマジで。
数十年後アザラシのタマちゃんが迷い込んだと知った時には悲鳴を上げそうになったが、後年市民の尽力で、シラサギが舞い降り水面には魚影が浮かぶ風光明媚な美しい河川へと変わっていたそうで(川もタマちゃんも無事)。
※こちらは2017年の鶴見川「鶴見川を歩く その1 河口から鴨池橋まで」(MiWA氏)
主人公カンドゥの貧乏で不器用だが心熱きポンコツ一家含め、あの頃を思い出しつつ激しく共感してしまい。逃げ惑う人々含め、登場人物全員がけなげで滑稽なのに必死でたまらなく愛おしい名作かと。
またグエムルも、獲物のはずのヒョンソが逃げようとするのをそっと阻止したりするシーンなど見るに、けしてなりたくてなったんじゃない悲哀が沁みたりもする。
ちなみに借金返済のため後輩ナミルを追手に売る童顔小太りな先輩役を演じたのはデビュー作にして大作だった「南極日誌」(2005年)の成績が芳しくなく頭を抱えてたイム・ピルソン監督。冒頭、漢江に大量のホルムアルデヒドの廃棄を命じる在韓米軍の博士役は「トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン」(1980年)のスコット・ウィルソン。またグエムルの『声』を演じたのは「殺人者の記憶法」(2017年)のオ・ダルス。

 

 

「楳図かずお恐怖劇場 ねがい」

(2005年/日) 楳図かずおのデビュー50周年記念/実写化作品集「楳図かずお恐怖劇場」6作品のうちの1本。
普通の小学生ヒトシ(笠原織人/子役)は、成績優秀だが内気で友達がおらず、寂しさから廃材で作った人形を『モクメ』と名付けて話しかけ、超能力ブームにあやかり、学習スタンドを見つめ「『モクメ』が本当に動きますように」と念じる(願う)ようになる。
母親(遠山景織子)は、一向に友達が出来ず不気味な人形に執着する息子を不安がり、父親(尾美としのり)に相談。父親は「子供の頃は誰でもそういう空想をするもんだが、大人になるにつれ忘れていくさ」とおっとり構えていたものの、心配そうな妻を案じて近所の塾に通わせることに。
案の定、塾では友達ができ、智子(奥村夏未/子役)とも仲良くなったヒトシは、モクメを不気味に感じて煩わしくなり、ついには少し離れた工事現場に捨ててしまうが、数日後の深夜学習スタンドが突然壊れ…。

かの昔読者が確実にトラウマった同名原作を、余すとこなく実写化した名作で、特筆すべきはこの人形『モクメ』の見事な造形。
製作者不肖ながら、見た目、サイズや重量感、操演までもがドンピシャで、ヒトシの留守に子供部屋の様子を見に行った母親がびっくりして腰抜かすとか、その後ヒトシ自身がゾッとして捨てに行くとかありそうで実に怖い。
しかもそもそも不気味な形状のソレが、打ち捨てられ無残に薄汚れ、やがてギクシャク動いてヒトシにすがるように襲い掛かる様子が、単に怖いだけではなくあまりに哀れで悔しげで、どうにかしてやってくれー!責任とれよ!とガチで目頭が熱くなる。
「奇蹟は 誰にでも 一度おきる だが おきたことには誰も気がつかない」とは「わたしは真悟」の名文句だが、こちらはそれより少し前、思春期目前の真面目少年の渇望。
「子ども部屋 そのドアの向こうは自分だけの空想が 自由に羽ばたく独立国 そこでは時々”ねがい”がかなうという」「そして子どもの頃のこの素晴らしい”ねがい”は もう二度と奇跡を呼び起こすことは無いだろう」…
かくして奇跡は起き、ヒトシは失いかけていた何かを心に刻む結果となる。
このヒトシを演じた笠原織人(子役時代)が実に名優で。昨今の「ミーガン」や「チャッキー」のように主の意図せず凶暴化した人形とのバトルとか退治話に終わらせてないんすよね。
脚本は真摯で、身につまされる。子供の頃の自分がどうあったのか、そして大人や親となった今どうなのか、ちゃんと考えられてるか。生きるのが精いっぱいで色んなものを見失ってる今こそ、金ローでぜひ流していただきたいレベかと。
ちなみにこのシリーズかなり自由度高めで、世界観含めておとなし目で原作順守してるのはこれ1本。
黒沢清監督×西島秀俊、緒川たまきの「蟲たちの家」は美しく静謐な大人ファンタジー、井口昇監督×成海璃子(大ブレイクしていた子役時代)のみんな大好きへび少女「まだらの少女」、山口雄大監督×高橋真唯のド派手スラッシャーなクリスマス「プレゼント」、伊藤匡史監督×中川翔子、津田寛治のエグい特殊メイクで魅せる「絶食」、VFXクリエーターで知られる太一監督×アリス、三輪ひとみらによるVFX特撮モノ「DEATH MAKE」と外連味たっぷりのラインナップなんで、お好み次第でどこからでもご賞味あれ。